口腔ケアの最近のブログ記事
今日は、1時から林歯科・訪問診療センターでミーティングを行ないました。
4月に常勤歯科医師が退職して以来、新しい訪問診療の患者さんをお断りする状態が続いていましたが、今回の話し合いで、週に一日木曜日の午後、院長が訪問診療を行なう事になりました。
訪問診療後、継続的・定期的なケアを行なって行くと、どうしても新たな不調が生じる場合がありますが、これに対する対応がここ2ヶ月、後手に回っていました。
これも、少しは解消するかと思います。
引き続き、常勤歯科医師を募集し、よりよい訪問診療の提供ができる環境にしていきたいと考えています。
これまで、旭川・林歯科医院では訪問診療が必要な方への口腔ケアに取り組んでまいりました。
その過程で、自分で十分なケアをできない人が、清潔な口腔環境を保つ事がどんなに困難であるかを実感しました。また、歯科の専門職でない人が口腔ケアをする事がどれほど難しい事であるかも体験しました。長期入院中の人、施設入所中の人の口腔ケアを、看護職・介護職の方がなさるのには、どれほどの時間的制約があるかもよくわかりました。
けれども、一定の条件を満たした介護保険を利用できる方を除いては、長期的に訪問口腔ケアを受ける事は、現在の保健医療制度の元では難しい事です。なんらかの歯科疾患への治療を受ける場合、その療養のために必要な口腔衛生指導を受ける事はできるのですが、長期入院者や施設入居者が、健康保険の給付によって継続的な歯科の専門家による訪問口腔ケアを受ける事はできないのです。
自分でケアをすることができない方が口腔ケアを受ける事によって、その方のQOLが高まり、風邪を引く事や発熱が減るという現象は、これまでにも数多くの報告があり、私たちも実際にたくさん体験しました。施設の方からも、そのような感謝の言葉をいただいてまいりました。
これは、口腔環境の改善が誤嚥性肺炎を防ぐという事例です。
健康保険による長期の口腔ケアを行なう事はできませんが、これからは、介護保険の認定を受けている方への居宅療養指導としての口腔ケア、施設・病院職員の方への口腔ケアに関する講習会開催等で、多くの方の口腔環境改善、ひいてはQOLの向上のお役に立ちたいと思っています。
これは、私たちに与えられた「ミッション」だと思っているからです。
林歯科医院に訪問診療のご依頼をいただく方の中には、長期間病院に入院している方がいらっしゃいます。
訪問診療後の口腔ケアは、本来「介護」と見做され、通常は「介護保険」で行ないます。ところが、介護保険の認定は、「居宅ないし居宅に準ずる状態」つまり自宅に住んでいる人に限られています。
ですから、長期間入院している人は、介護保険を利用する事はできません。
とはいえ、訪問診療を終了後そのまま関わりを断ってしまうと、このような方の口の中の状態は一気に元通りになってしまい、短期間で再び何らかのトラブルを抱えて訪問診療のご依頼をいただく事になります。
私たちとしては、できれば定期的に口の中の清掃状態を確認し、ご自分や看護をされる方では難しい清掃のお手伝いをして、その方のQOLを高めると同時に歯科疾患の再発防止に努めたいという気持ちがあります。しかし、現行の「健康保険」「介護保険」のシステムでは、長期入院患者への「口腔ケア」に関する対応は、二つの制度の狭間に取り残されてしまっているように思われます。
長期入院患者の中には、社会的入院と言われる人も含まれており、そのような方は、病院ではない施設に移るべきであるという事も言われています。今回の保険改訂でも、この点への対応は唱われているようです。
どのような立場の方であれ、自分でのケアが難しい方が「口腔ケア」を受けられるようになればよいのですが。
介護の必要な方の口腔ケアを徹底すると、独特のにおいが無くなり、介護をする方の精神的な負担が軽減することがあるという話を以前書きました。
そのとき、ある友人が、「亡くなった祖母が、口のにおいや乾きを気にしていたけれど、今だったら解決できたのだろうか」という疑問を投げかけてくれました。
実は、この「乾き」と口のにおいには密接な関係があります。
様々な事情で、唾液の分泌が抑えられると、口の中には「こもったようなにおい」が残ってしまい、周りの人よりも本人自身が「におい」を気にすることがあるようです。のどの奥から鼻に臭いが回ってしまうためではないかと言う事です。
唾液の分泌を抑える原因には、常用しているお薬、本人自身の疾患、精神的な緊張など様々なものがあります。その原因にアプローチしたり、唾液の分泌を促進するようなことをしたりするいろいろな解決の手法があります。
もし、ご自身や回りの方の口の乾き、臭いなどが気になるときは、まずかかりつけの歯科医院で相談してみましょう。けれども臭いには、残念ながら、余り多くの歯科医院が取り組んでいません。悩みが深い方は、一度、本田歯科医院のホームページをご覧になってください。
私も、2回ほど本田先生の講義を拝聴しましたが、本当に悩みが深い方の問題を解決する力はないと思っています。上記のホームページには口臭の問題に取り組んでいる歯科医院のリストがあります。そちらをご参照になると、悩みの解決の助けになるのではないかと思います。
介護保険新予防給付への「口腔ケアモデルプラン」作成のためのテストケースとして、遠方の施設にご協力いただく事は、以前にも書きました。昨日はその第一回でした。
今回は、3回のコースで、要介護度が低い方を対象とした集団指導のテストケースです。札幌から、北海道歯科衛生士会の佐々木千雅子先生にいらして頂き、通所でデイケアを受けている方を対象にいろいろなお話、ゲームなどを行ない、口から食べ続ける事の素晴らしさ、そのためのトレーニング方法などをお伝えしました。
先生と一緒に、私どもの口腔ケアスタッフ歯科衛生士3名が同行しお手伝いをいたしました。先生のご指導を間近で拝見する事ができたのは、とてもいい経験だったという事です。
これから3回のコースを行なって、新予防給付に乗っ取った旭川・林歯科医院での集団指導プランを立案したいと思っています。
旭川・林歯科のスタッフが最初に口腔ケア部門に配属されるとき、歯科の技術ではない様々な壁に突き当たります。訪問が必要な患者さんとのコミュニケーション、家族の方や介護の方との相互理解、不随意の動き、そして、「におい」の問題。
歯がない人、口から食べていない人には口腔ケアは必要ないのではないかというご意見をいただく事があります。これはとんでもないことです。きちんとかたいモノ、繊維のあるモノを噛み砕いて飲み込んで暮らしていない人ほど、口の中は汚れてしまいます。
そして、独特の「におい」が生じます。
ところが、週に一度の口腔ケアを続けるうちに、この「におい」がなくなっていきます。もちろん、日常のケアのレベルが歯科衛生士の指導によって向上していきますし、週に一度徹底的にきれいにすることで日常のケアの負担も軽減して行きます。
すると、ケアが必要な人、独特の「におい」がなくなってくるのです。
訪問歯科治療終了時に口腔ケアをお薦めしても、介護にあたる方々に懐疑的な態度をとられる事が多々あります。それが、この「におい」の減少によって、ケアに対する評価があがり、「とても感謝される」とスタッフが皆、言っています。
林歯科医院で、以前、訪問診療、訪問口腔ケアにうかがったことがある病院にお勤めだった先生が、最近、他の地方の病院長に就任されました。この方から、先日、口腔ケア講習会のご依頼がありました。現在の病院の「におい」の解決のためには口腔ケアが不可欠であると思われたそうです。
このようなご依頼をいただき、大変光栄に思いますし、口腔ケア担当スタッフ全員の努力のたまものであるとありがたく思います。
今朝の新聞に、この春からの介護保険改訂の説明がありました。
旭川・林歯科医院が、現在最も力を入れている口腔ケアの部門にも関わる事ですので、しっかり目を通しました。なかなか難しい情報で、なるほど斉藤美香歯科衛生士が、説明に苦慮するはずです。
さて、この新予防給付を念頭に置いて、林歯科医院では、新予防給付の口腔ケアプラン立案についての取り組みを始めました。
林歯科医院からの訪問診療ができる半径16キロメートルを超えているので訪問診療や訪問口腔ケアはできないのですが、遠方にある施設から口腔ケアプラン立案についてご相談をいただいています。そこで、診療ではなく、口腔ケアプランのモデルケースとして協力する事にいたしました。
今回の予防給付への対応方法にはよくわからない点もあり、今回の依頼では新予防給付へのモデルプラン作成とするためもあって、様々な新機軸を打ち出しています。この予防給付で、歯科医院と歯科衛生士がどのような役割を果たすのか、しっかり見つめて行きたいと思います。
2月に入ってから3回のトライアルを行ない、再検討を行なう予定です。
4月からの新予防給付に間に合うよう、これからまた忙しくなりそうです。
旭川市・林歯科医院が、口腔ケア部門を設立してから、まもなく5年になります。
当初は、回りに口腔ケアに取り組んでいる人も見つからず、指導してくれる人とてなく、本で学び、講習会で学び、そこで知り合った方に教わり、そして、なにより患者さんに教わって、少しずつ林歯科医院の口腔ケアのスタイルが確立しました。
現在、新卒で入ってきた歯科衛生士は、まず診療室内で基本的な歯科衛生業務とアシスタントをマスターし、それから訪問診療のアシスタント業務につきます。この訪問診療のアシスタントをしながら、帯同する歯科医師の指示で、患者さんの口腔衛生指導を行なうのが口腔ケアへの第一歩です。
この時点では、実は、歯科衛生士学校ではほとんど口腔ケアの手法の実際については学んでいない状態です。が、それにもまして、口腔ケアに入るときの大きな壁は「におい」です。今でも口腔ケア院内講習のときに、斉藤歯科衛生士がスライドを見せながら笑いますが、私自身、初めて施設の方の口の中を見るとき、その「におい」には圧倒され、涙目になりました。一方では、口腔ケアが施設に受け入れられる第一歩はこの「におい」の消失なのですが、その話はまた次の機会にいたしましょう。
この壁を乗り越えて、2年目の歯科衛生士は、院内業務と訪問診療業務に携わりながら、口腔衛生管理・指導のスキルを身につけます。
そして、いよいよ3年目。
口腔ケア班に週に一回参加し、口腔ケア業務を学びます。はじめは、先輩と一緒に二人で一人の患者さんのケアを行ない、次第に難易度の低い症例を引き継いで担当して行きます。
まもなく4年目になる歯科衛生士であっても、まだまだ難易度の高い方の口腔ケアを一人で行なう事は困難です。歯科衛生士としてのスキル以外に、様々な知識と人生経験が求められる職場だからです。このように一人の新卒歯科衛生士が、一人前の口腔ケア技術を身につけるまでには、様々な面での成長の時間が必要です。
ですから、反対に、歯科衛生士としての熟練を経た後職場からはなれ、家庭に入り地域の中で様々な人生経験を重ねた方が、その人間としてのスキルを生かせる職場でもあります。口腔ケアの業務のトレーニングを受けて、これまでに数名の方が歯科衛生士として職場復帰を果たされています。
林歯科医院は、これからの高齢化社会の中で、きっと求められるであろう口腔ケアの技術をもった歯科衛生士の育成にこれからも努めてまいります。
